人工的に造られる培養肉「クリーンミート」が世界を救う?

人工的に造られる培養肉「クリーンミート」が世界を救う?

1931年、当時のイギリスの首相チャーチルは、エッセイ『50年後』の中で、

「胸肉や手羽肉を食べるために鶏1羽を飼育するという不条理から解放され、

それらの部位を別々で育てていることだろう」と述べています。

 

チャーチル首相が予言した、人工的に造られる培養肉、

その名も「クリーンミート(Clean Meat)」

まるでSF世界の話のようですが、

すでに生産に成功しており、

実用化に向けての取り組みが現在行われています。

市場に出回るのも時間の問題でしょう。

 

この「クリーンミート」が世界を変えるかもしれません。



「クリーンミート」とは?

クリーンミートとは、

動物の細胞を取り出して人工的に培養することで造り出す食肉のことです。

そのため、植物由来の成分を使った人工肉とは異なり、

本物の動物の筋肉組織と同様、動物性たんぱく質によって構成されています。

 

2013年、オランダのマーストリヒト大学の教授であるマーク・ポスト博士は、

培養肉を使った「人工肉バーガー」を作り、ロンドンで試食会を開きました。

「脂肪分がないのでジューシーさには欠けるが、

食感は完璧であり、普通のハンバーガーを食べているようだった」と

参加者は語っていることから、マズいわけではないようです。

 

しかし、この試食会で提供されたハンバーガーは、

研究費込みで1個 約3,500万円と現実離れしすぎた値段。

翌年には、1個1,400円で作れるようになったみたいですが、

それでもまだ通常のハンバーガー価格よりは高いですね。

それから4年経った現在でも、未だ市場に出回ってないことから、

実用化には今一歩というところなのでしょう。

 

クリーンミートのメリット

 

クリーンミートには、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?

 

動物を殺す必要がなくなる

現在流通している食肉は、もちろん動物から採取されたものなので、

その食肉を得るために私たちは大量の動物を殺しています。

動物を殺して命をいただくことの善悪を判断するのは難しいですが、

ベジタリアンや熱心な動物愛好家にとっては、きっと喜ばしいことでしょう。

 

環境に優しい

動物を飼育するには、

多大なお金労力、水や飼料、土地などの資源が必要です。

牛肉1kgを生産するには、

飼料用穀物が11kg、水が2,000Lも必要だそうです。

 

2011年、オックスフォード大学のハンナ・トゥオミスト氏が発表した研究では、

クリーンミートが従来の牛肉生産に取って代えられることで、

土地を99%、水を96%、温室効果ガスを96%削減することが

可能だと試算されています。

 

また、クリーンミートは必要な分だけ生産することができるので、

廃棄される食肉の量を劇的に減らすことができます。

従来の生産方法の過程で発生していた廃棄物もなくなります。

クリーンミートが、ゴミ問題解決の一助になる可能性も大いにあるのです。

 

衛生的

従来の食肉の生産方法では、ぜんぶがぜんぶではないでしょうが、

動物は、牛舎や豚舎の中で排泄物にまみれて飼われていたり、

様々なホルモン剤抗生物質を与えられています。

海外ではなおのことでしょう。

 

しかし、クリーンミートは常に清潔な環境で生産されるので、

不衛生な食肉が出回ることはありません。

ウイルス感染症の心配もなくなるのです。

 

まとめ

人工的に造られる培養肉「クリーンミート」

その響きは、やはりどこか現実感がなく不気味ですが、

実用化はおそらくもうすぐそこまで来ています。

 

上に挙げたメリットは、そのどれもが非常に大きなインパクトを持っています。

「動物愛護に関わる倫理的な問題」

「ゴミ問題や地球温暖化などの環境問題」

「貧しい地域や途上国の食料に関わる衛生問題」

クリーンミートは、そのすべてを解決することができるのです。

また、従来の食肉よりも安価で生産できるようになれば、

食料問題を解決することも期待できるでしょう。

 

「従来の食肉生産方法」と「クリーンミート」

どちらが良い悪いということは一概には言えませんが、

クリーンミートが世界を救うかもしれません。

  

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